インタビューライティング制作事例

「楽しい」を道標に歩んだ先に広がっていた景色

「楽しいと思えることを仕事にしたい」

思い描いてもかなえるのは簡単ではない―そんな理想を現実にした裏には揺るぎないポリシーがあったのです。

“秋田県の木こり”として、大好きな自然に囲まれて働く「株式会社 Master Tree」代表の鈴木直也さんにスポットライトを当てました!

屈託のない笑顔で等身大の言葉を口にする直也さん。それはきっと、人生が「楽しい」であふれているから。彼が頼りにしてきたコンパスはいつも、他の誰でもない“自分の心”が向く方を指していたのでしょう。

行き詰まった時に立ち返る場所を教わったインタビュー。直也さんらしい魅力がぎゅっと詰まったライフストーリーを、ぜひお楽しみください!

Master Tree 代表 鈴木直也 ライフストーリーインタビュー

鈴木直也(すずきなおや)1988年秋田県出身。平成24年より5年間にわたり山の保守管理業務を行う会社に在籍。サーフボードリペアショップ・フリーカメラマンなど、クリエイティブな分野でも才能を発揮。
現在は、自ら立ち上げた「株式会社 Master Tree」代表として、街中にある“切るのが困難な巨木”の特殊伐採を行う他、フォレストワーカー集合研修に登壇したり、自然の良さを伝えるイベントを開催したりと、多岐にわたり秋田の林業界に貢献。※詳細はページ下部に記載

自然の中で見つけた大切なもの

──学生時代から現在に至るまでのお話を聞かせてください。

これまで色んな経験や仕事をしてきましたが、子どもの頃からずっと変わらないのは“自然が大好き”ということでした。

自分の人生で何かを決める時、一番大切にしているのは“楽しいか楽しくないか”です―。

追い求めていたのはいつだって“楽しいこと

高校生の時は、友達とみんなで遊ぶのが自分のやりたいことでした。「桜がきれいだろうし花見に行こう」「天気が良いから海に行こう」と言っては、友達を誘って学校を休んだり早退したり。

高校卒業後は、やりたいこともなかったので親に勧められた専門学校へ行きましたが、3日間しか通わず3カ月で辞めてしまいましたね。教材を開いた瞬間、無理だと思ったんです(笑)。

その後は、何となく選んだ会社に就職しましたが、先輩に誘われてサーフィンにはまり、サーフショップで働くようになりました。

サーフィン 千葉

自分のやりたいことが見つかってきたのは、これくらいの時期です。都会は飲み屋さんも多くて楽しかったけど、結局週末は秋田よりも田舎にある海に行って遊んでいて……

やっぱり自分は自然が好きなんだと再確認した時期でもあります。

やりたくないことはやらないスタイルを貫いて

東日本大震災をきっかけに秋田に戻ってからは、サーフボードのリペアショップを運営したり、フリーカメラマンとして働いたり、今の仕事につながる林業会社で働いたりしました。

カメラマン時代には、フリースタイルスキーのワールドカップにオフィシャルカメラマンとして入ったこともありますよ。5年間にわたって選んでいただきました。

被写体をかっこよく魅せるため尽力したカメラマン時代

僕はスポーツの写真が撮りたかったので、「ブライダルは手が足りないときだけですよ」と伝えていたし、今の仕事を始めた頃は特殊伐採だけをやりたかったので、誰でもできるような仕事は断っていました。「草刈りはやりませんよ」って(笑)。

──独立当初って「何でもやるので仕事をください」というスタンスになりそうですが……

これまで色んな仕事をしてきましたが、どれもちゃんとお金に結びつくくらい成功できたのは、“楽しいこと”を選んできたからだと思うんです。

楽しいことなら「人より覚えたい・負けたくない・極めたい」という気持ちが生まれるからです。

例えば、「この業種はライバルがいないからいけそう」という理由で選んでも、モチベーションが低ければ、意識が高い人に越されてしまう。

本物にはなれないですよね。

──なるほど! 楽しさを優先し続けるのは難しい場面もあったはず……そのスタンスを貫いた勇気がすごいです。やりたいことが分からない人も多いですよね?

僕もそういう時期はありました。でも、何が自分に合っているかはやってみなければ分からない。

やりたいことをやらなかったり、楽しくないことをやり続けたりして、ゆくゆく後悔するよりなら、まずはやってみる。その方がたとえ失敗しても納得できるはずです。

自分の人生を豊かにするには行動あるのみだと思うんです。

海遊び 親子
いつか娘(左)が海外に行きたいと言ったら、「ワーキングホリデー」として同行しサーフィンをしたいと直也さん。

迷いなく踏み出したゼロからの道

──「株式会社 Master Tree」を立ち上げた経緯について聞かせてください。

僕がこの仕事を始めたのは約5年前です。前職の林業会社で習得した“誰にもまねできないスキル”を生かして、自分主体の仕事ができたら楽しそうだと思ったんです。

前の会社もやりたいことをやらせてもらえる環境ではありましたが、そこに行き着くまでに必要なステップが窮屈で……

自分の仕事を教え切って「退職しても迷惑はかからないだろう」と思えた時、独立を決めました。

特殊伐採 巨木
高度な技術が求められる巨木の「特殊伐採

当初は、林業や造園業社と取引した経験は一切なく、前職のつながりを生かせる仕事でもなかったので、「木を切る仕事ってどこにあるんだろう?」というところからスタート。

とりあえず1~2ヶ月は神社やお寺を回って「お、木が生えてるな」と思えばピンポンを押して、営業をしていました。

──「独立しなければ良かった」と思ったことはありますか?

大変だったことはあります。最初はゴミ拾いのバイトをしながら食いつないでいました。独立したのが閑散期に入るタイミングだったので、失敗したなと思いましたね(笑)。

でも、後悔したことは一度もありません。特殊伐採は危険も伴い、高度なスキルが求められる仕事なので、絶対に他には負けない自信がありました。

特殊伐採 巨木

気付いたらどんどん仕事が入るようになっていたんです。

切れない木があると、「鈴木君がやってくれないかな?」と同業者から連絡がきたり、知らないところで名前が広がっていたりして……

難しい条件にある木でも切れなかったことは一度もありません。今では特殊伐採以外の仕事も幅広く行っていますよ。もちろん草刈りも(笑)。

林業と造園業を両立する会社はあまりないですが、広い知識を持たなければならない分、学ぶことも多いし色んな経験ができます。

そして何より、自然の中にいるのが楽しいです。山を管理することで海や川─地球全体がきれいになったら嬉しいですね。

次世代のために苗木を植えて地球環境に貢献

心のままに生きる経営者の未来

──やりたいことをかなえた今、どんな夢や目標がありますか?

一緒に働く仲間にとって、働きやすい環境を整えてあげたいです。

この前ある従業員から、「夏休みをとっていいですか?」と言われたんですよ。「8月いっぱい?」と聞いたら「はい」って。山が好きだから長野の山に行きたいみたいです。

──1カ月も夏休みをとれる環境って、なかなかないですよね!?

ありですよ、社長がこんなんだから。遊びたい時は遊んで、やりたいことはやらせてあげたいです。稼ぎ時なのに仕事を入れられないっていうのはありますけどね……仕方ないです(笑)。

伐採 手作り家具
切った木で家具を作成「どんな時も遊び心は忘れない」

みんなこだわりとやりがいを持って働く素晴らしい人ばかりで、他社には負けないくらい良い仕事をしてくれます。

僕が重視するのは内容なので、勤務時間ではなくノルマだけを決めるようにしているんです。それさえクリアすれば何時に帰宅してもオッケー、その方がやりがいを持って仕事に向き合えますよね。器用な人も不器用な人もいますが、適材適所で仕事をしてもらえたらいいです。

あとは、「幅広く木々にふれ合って仕事をしたい」と思って始めた仕事なので、規模を大きくしたいというよりは、自分自身も現場に出続けて汗を流していたいですね。

──すてきなお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。心の赴くままに日々を楽しむ姿から、大切なことを教わりました。これからも直也さんらしいライフストーリーが描かれていくのを楽しみにしています!

Master Tree 従業員 仕事風景

鈴木直也(すずきなおや)1988年秋田県出身。平成24年より5年間にわたり山の保守管理業務を行う会社に在籍。サーフボードリペアショップ・フリーカメラマンなど、クリエイティブな分野でも才能を発揮。
現在は、自ら立ち上げた「株式会社 Master Tree」代表として、街中にある『切るのが困難な巨木』の特殊伐採を行いさまざまな困りごとを解決。その他にも、講師としてフォレストワーカー集合研修に登壇したり、秋田県ツリーイング連絡協議会の会長として自然の良さを伝えるイベントを開催したりと、多岐にわたり秋田の林業界に貢献。

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